賃貸住宅サイトに実態と異なる物件情報を記載して客を呼び込む「おとり広告」について、近畿の業界団体が規制の強化に乗り出す。おとり広告を出した業者の情報サイトへの掲載を1カ月以上、停止するのが柱で8月からスタートする。消費者を惑わす悪質な業者を排除する狙い。
首都圏の業界団体ではすでに同様の対策が始まっているが、近畿では初めて。公益社団法人「近畿地区不動産公正取引協議会」と、「SUUMO(スーモ)」や「CHINTAI」などの不動産情報サイトを運営する大手5社が取り組む。
「おとり広告」の物件では、半年以上前にすでに契約済みになっていたり、実際よりも安い賃料や広い専有面積などを記載したりするケースが確認されている。客が広告にある物件の紹介を依頼しても、実際には存在しないので、業者側は別の物件を案内して、契約につなげようとする。
サイト運営会社などの調査では、近畿での昨年度の違反件数は、1206件と全国の43%を占めるほど多かった。
これまで協議会が科していた「50万円以下の違約金」のほか、今後は情報サイト大手5社が足並みをそろえて、「おとり広告」を出した業者の情報掲載を1カ月以上、見合わせる。同協議会の担当者は「業界全体の信頼を傷つけるもので、厳しく対処したい」としている。