LIMEXで作られたトレーや名刺、チラシなど【拡大】
□TBM・山崎敦義社長
ベンチャー企業のTBM(東京都中央区)は製造過程での水や木、石油の使用量を大幅に減らし、紙やプラスチックの代わりになる新素材「LIMEX(ライメックス)」を開発した。3月には、プラント大手の日揮とともにサウジアラビア国家産業クラスター開発計画庁(NICDP)と事業化調査で合意し、現地で工場立地の可能性に関する調査を進めている。TBMの山崎敦義社長に、新素材の可能性などについて聞いた。
◆優れた耐久性
--LIMEXとは
「石灰石を主原料にポリオレフィン樹脂を混ぜ合わせたものだ。LIMEXという名前も、石灰石を意味する英単語『LIMESTONE(ライムストーン)』に無限の可能性を表す『X』とを掛け合わせた」
--特長は
「LIMEX製造時に必要な水の量が普通紙に比べて、わずか2%ですむ点だ。しかも石灰石は日本では100%の自給率を誇る鉱物資源で、世界的にも埋蔵量が豊富だ。素材としても普通紙よりも耐水性や耐久性がある。またプラスチックよりも加工が容易だ」
--開発のきっかけは
「約10年ほど前に知り合いから石灰石でできた紙『ストーンペーパー』を使った名刺を見せられたのがきっかけ。ちょうどその頃、世の中が『エコ』と言われ出したことで、面白い素材だと思い、知り合いのつてをたどって台湾のメーカーと交渉し、2008年から輸入販売を始めた。でも売れなかった」
--その理由は
「紙よりも重かったため、使い勝手が悪いと敬遠されたからだ。でも、何とか形にしたいと思い、開発に取り組んだ。スタートアップの私たちにとって、思い切り研究できる場所や機材がなく、いろんな企業や大学の研究室を借りながら実験を繰り返した」