現状、カジノにおけるマネーロンダリングについては届け出件数や事例が少ない。報告には顧客がマネーロンダリングに従事している疑いがあるとの合理的な理由が必要となることから、顧客ありきのサービス産業の現場においては、単なる換金行為としてスルーされているケースも想定される。つまりカジノにおいては、仮にマネーロンダリングがあったとしても、その証拠が判別しにくいことが届け出件数の少なさに反映している可能性がある。改めて根の深い問題であることがうかがい知れる。
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【プロフィル】木村和史
きむら・かずし 1970年生まれ。同志社大学経済学部卒。大手シンクタンク勤務時代に遊技業界の調査やコンサルティング、書籍編集に携わる。現在は独立し、雑誌「シークエンス」の取締役を務める傍ら、アジア情勢のレポート執筆等手掛ける。