四谷コーポラスの外観=東京都新宿区【拡大】
旭化成不動産レジデンス(東京都新宿区)は、「四谷コーポラス」(同)の建て替え事業に着手した。同物件は1956年に完成した民間初の分譲マンション。1つの住戸の中に階段があり2層以上を立体的に使うメゾネットタイプを導入し、当時は大学教授や弁護士、大手企業の社長らが購入した高級物件だった。築60年が経過して頻繁に水漏れが発生するなど老朽化が著しく、住民間の合意を経て建て替えに至った。2019年夏の完成を目指している。
分譲マンションの建て替えには区分所有者の5分の4以上の賛成が必要となる。しかし、費用負担など経済的な理由や住民の高齢化で合意が得られず、老朽化しても建て替えはなかなか進まないのが現状だ。
四谷コーポラスの区分所有者は25人。当初購入した世帯の2世や3世が多いこともあって「横のつながりが強く、しっかりと管理組合はまとまっていた」(四谷コーポラス管理組合の島田勝八郎理事)という。
それでもコストの問題などもあって、一気に話が進むことはなかったものの、日常的にコミュニケーションが図られていたこともあって、23人の区分所有者が賛成。当初、反対にまわった区分所有者も最終的に建て替えに賛成した。
建て替えは複数のデベロッパーによる競合となり、採点方式で業者を選んだ。オープンな場で建て替え推進委員会のメンバーによる評価が発表され、最も高い点数を取った旭化成不動産レジデンスが選ばれた。