「すべての元凶は自分たち営業マン」 リニューアルで「黒ラベル」が売れた理由 (1/4ページ)

 近畿圏でサッポロビールの「黒ラベル」が売れ続けている。2015年のリニューアル以降、売り上げは28カ月連続で前年超え。特に20代男性では2年前の1.6倍に伸びている。「若者のビール離れ」が課題のなかで、40周年を迎えるロングセラー商品になにが起きたのか。営業の現場を追った--。

 「すべての元凶は自分たち営業マン」

 「現場の営業自身が、『黒ラベル』を信じてあげられなかった。商品ではなく自分たちが元凶なんです」

 サッポロビール営業本部西日本マーケティング統括部の田邊稔博さんは申し訳なさそうに、そして同時に未来への希望に目を輝かせた様子でそう語る。

 会社の中に、商品の真価が理解されず、本当は売れ筋になるものが潜んでいることがある。「サッポロ生ビール黒ラベル」がまさにそんな商品だった。

 2017年の夏も西梅田スクエアというJR大阪駅の真ん前に、期間限定の「パーフェクトビヤガーデン」が営業している。2017年で3年目になるこのビヤガーデンでは、提供の仕方を突き詰め、黒ラベルの生のうまさに徹底的にこだわった「パーフェクト黒ラベル」を味わうことができる。

 1Fは英国にありそうなパブ風で、2FはテレビCMの「大人エレベーター」の世界観を再現し、エレベーター扉の先に完全予約制のプライベートバーが広がるという設計だ。

 「ここはビヤガーデンではありますが、『一杯飲み』ができます。残業帰りの方や、少し飲み足りないという方が2軒目として立ち寄ってくださります」

 パーフェクトビヤガーデンを運営する、ニューミュンヘンの上杉竜太郎専務はそう説明する。

 黒ラベルを楽しんでいる客層は幅広い。20代、30代の若い世代が多く、女性や外国人も大勢交じる。40年前に発売された黒ラベルのシンボル「黒丸に星マーク」は年配世代には見慣れたものでも、若い人たちにはかえって新しさを感じ、「カッコいい」対象のようだ。

「黒ラベルはそれほど売れるブランドではない」