【ビジネスのつぼ】不発「スト3」を反面教師に… 格闘ゲーム人気の再爆発へ、「スト5」刷新の狙い (1/3ページ)

カプコンの小野義徳執行役員
カプコンの小野義徳執行役員【拡大】

  • ストリートファイター5の開発を担当したカプコンの綾野智章氏(左)と松本修平氏=大阪市中央区
  • 家庭用ゲーム機とパソコンを“戦場”としたストリートファイター5

 ■eスポーツ意識 「誰でも分かるすごさ」重視

 「昇竜拳!」「波動拳!」-。1990年代前半、学校帰りの中高生は、ゲームセンターという“戦場”に見知らぬ相手と「ストリートファイター2(スト2)」で戦うために殺到した。ゲーム業界に一大ブームを巻き起こした「格闘ゲーム」の元祖のスト2は、現在の「eスポーツ」の源流とも言えるゲームだ。スト2はその後もシリーズを重ね、現在の5作目、ストリートファイター5(スト5)では、家庭用ゲーム機とパソコンを“戦場”として、日々、世界中のファイター同士がインターネットを介して戦い続けている。

 新規プレーヤー取り込み

 スト5は前作のスト4から8年ぶりとなる昨年2月に全世界で提供を開始した。8方向に操作できるキー(レバー)と6つのボタンの組み合わせでプレーするというのはシリーズ通して共通。弱中強の3段階でパンチやキックの「通常技」を繰り出すことができるほか、キーやボタンの組み合わせで、上方向にパンチを放ちながら飛び上がる「昇竜拳」などの「必殺技」を出すことができるのも共通した特徴だ。さまざまな通常技や必殺技を繰り出し、相手の体力をゼロにした時点で勝敗が決まるというのが、ゲームの一連の流れだ。

 カプコンの綾野智章プロデューサーは「スト5は、前作のイメージを継承すべきか、一から作り直すか、かなり悩んだ」という。

 というのも、前作はバージョンアップを繰り返して、世界中で多くのファンの獲得に成功したからだ。しかし、新規参入のプレーヤーを取り込むために一から見直すことが必要と判断。前作の特徴だった、通常技や必殺技を連続して相手にたたき込む「コンボ」を減らし、キャラクターごとの個性を際立たせること、必殺技の入力も簡単にすることなどの調整を実施したという。また、上級者にしか分からない隠れたシステムを減らすことによっても、新規参入を増やそうとした。

ヒットしなかったスト3を反面教師に