□ワールド・ワイズ・ジャパン代表 LOGOSプロジェクト主幹 濱口理佳
カードローンが社会問題としてクローズアップされつつある。銀行のカードローンには、消費者金融のように融資額の上限を年収の3分の1とする貸金業法の規制がなく、日本弁護士連合会が「多重債務につながっている」などと批判していた。なお、銀行カードローンの残高は今年3月末時点で5兆円を超え、この4年間で1.6倍になったといわれている。
金融庁は9月下旬、銀行が無担保で個人に融資している「カードローン」の実態を調べる目的でメガバンク3行に立ち入り検査に入った。また検査から1カ月を経て、三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3行が、カードローンの融資額を年収の3分の1や2分の1までとする上限を自主的に導入した。
あくまでも自主的な導入にとどまったが、安易に遊ぶ金欲しさで借金ができる環境、つまり“パチンコで借金地獄”“パチンコ代欲しさに借金を重ね…”と報じられる大きな外的要因にメスが入れられたことになる。これは業界として歓迎すべき動きだろう。
遊技産業はいま、産業そのものの生き残りの課題として、行政の要請もあるなか、依存問題の取り組み強化を最優先に掲げ、これに注力している。しかしながら本来、産業が社会共生に向けて取り組むべきは、今後のサステナビリティを考える上での世界の共通言語“SDGs(エズディージーズ、Sustainable Development Goals)”への寄与など、社会における存在意義の強化に他ならない。この大きな視点を見失って、社会に必要とされ、持続可能な成長を遂げる産業像は描けないだろう。