【東芝危機】増資決定で米WDとの和解協議が前進も 月内合意はなお見通せず (1/2ページ)

東芝メモリの四日市工場で建設中の第6製造棟(同社提供)
東芝メモリの四日市工場で建設中の第6製造棟(同社提供)【拡大】

 経営再建中の東芝が約6千億円の増資を決めたことで、係争中の米ウエスタンデジタル(WD)との和解協議が前進する可能性が出てきた。係争が障害になって、来年3月末までに半導体子会社「東芝メモリ」を売却できなくても上場廃止を回避でき、交渉を進めやすくなったからだ。ただ、両社の溝は深く、目標とする月内の合意が実現するかは不透明な状況だ。

 東芝の成毛康雄副社長(東芝メモリ社長)らは先週訪米し、WD側と係争解決に向けた協議を行った。関係者によると「少しずつ状況は変わりつつある」ようだが、「結論は出ていない」といい、協議を継続していく方針だ。

 東芝はWDに東芝メモリの四日市工場(三重県四日市市)で建設中の第6製造棟への共同投資を呼びかける一方、投資に参加する条件として国際仲裁裁判所に申し立てている東芝メモリ売却差し止め訴訟の取り下げを求めている。

 東芝関係者は「折り合えなければ、単独投資に踏み切る」と語る。8月に決めた第6棟の最初の設備投資ではWDを排除。しかし、半導体メモリーの活況が続いており、東芝は次の設備の発注を11月中に済ませたいとWD側に伝えた。

 両社は四日市工場で設備投資負担の割合に応じて製品を分け合う契約を結んでいる。WDはこのままだと最新のメモリーの供給が受けられずに経営の打撃になるため、強硬姿勢に変化の兆しもあるようだ。