【高論卓説】後戻りできないAI化の流れ 通用するのは「考」「感」「表現」 (1/2ページ)

 三菱UFJフィナンシャル・グループが、今後10年程度で1万人の人員削減を検討しているというニュースが流れ、物議を醸しているが、この背景は、間違いなく人工知能(AI)後の効率経営をにらんでのことだろう。AIの発展に伴い人の働き方も変化せざるを得ないといわれて久しいが、まさにその具体的な表れがこの報道により社会に突き付けられた。

 究極のサービス業である銀行は、証券との融合など、金融というサービスや商品が多様化されていくものの、そのビジネスモデルの本質が金利という数字であることから、扱いやすさも手伝って、ITと融合した新サービス「フィンテック」が花盛りだ。人力がAIに置き換わる最もAI化に親和性のある業種ということになる。国際化や社会のインフラであることも手伝って、より効率的に、より公平に、より迅速に物事を進めていくことが求められる。

 そんな金融業のみならず、AI化の流れは、広く社会一般のこととして後戻りはできない。その中で求められる人材とはどんな人材なのだろうか。

 第1に、人に直接関わる「インターフェース」としての人材。営業であり接客であり、AIの情報を通訳するインターフェースとしての役割。これはどんなにAI化が進んでも決してなくならず、むしろ、どんどん必要になってくる職種といえる。もう一つは、無から有を生み出す人材。クリエーティブ業種とでもいうべき何かを生み出す人たち。AIは膨大な情報を基に最適な解を出すが、まったく新しいものは生み出せない。それはやはり人間の創造性の領域だ。

 これらは、AI後の働き方として、第1次産業の農林水産業から第2次産業の製造業、第3次産業のサービス業に至るまでのあらゆるビジネスに共通な期待される人材像といえる。まとめると、「対人コミュニケーション能力」と「創造力」だ。

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