積水化学、米社とごみ処理新技術 分別せずにエタノール生産

※写真はイメージです(Getty Images)
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 積水化学工業は6日、米ベンチャーのランザテック(イリノイ州)と、ごみからエタノールを生産する技術を開発したと発表した。処理施設に集められた家庭ごみや産業廃棄物を分別せずにガス化し、微生物の力でエタノールに変換する。分別しなくても処理できるのは世界初。同社は「ごみが貴重な『都市油田』になる」(上ノ山(うえのやま)智史専務執行役員)として、2019年度中に最初の実用プラントを稼働させる方針だ。

 開発した生産技術は、まずごみを一酸化炭素(CO)と水素のガスに変換。次いで微生物を触媒に活用しつつ、熱や圧力を加えずにCOと水素を結合させてエタノールを得る。ベンゼンなど、COと水素以外の微生物にとって有害な物質を取り除く技術を確立したことで、連続的なエタノール生産が可能になった。

 微生物はランザテックが保有し、原生微生物の10倍以上の反応速度があるという。このため、生産したエタノールは一般的な石化製品と比べても価格競争力があるとしている。

 積水化学は埼玉県寄居町のごみ処理施設内に試験設備を設置し、14年から実証実験を行ってきた。今後は、処理施設の隣接地に設置させてもらえるよう、地方自治体に売り込むほか、海外にも展開。30年代半ばには、売上高1000億円規模のビジネスに育てる考えだ。