危機感を募らせる同社は、16年4月、持続可能なコーヒー生産を目指す国際研究機関、ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR、本部・米テキサス州)と協業。これにインドネシア・コーヒー・カカオ研究所(ICCRI)を加えた三者で、国際品種栽培実験(IMLVT)をトラジャの同社直営パダマラン農場で実施することで合意した。
IMLVTが進められる実験圃場は広さおよそ2ヘクタール。世界の産地から集めたえりすぐりの実験用苗木は最終的に42品種となる予定で、植え付けは今年5月に始まった。「進捗(しんちょく)はおおむね順調」(キーコーヒーの現地法人「トアルコ・ジャヤ」の吉原聡・生産担当取締役)。真っ赤なコーヒーチェリーの実をつけるのは3年後で、WCRは今後、将来の安定生産を担保するコーヒーの新基準をトラジャから世界に公開していく。
主役は生産者
「われわれの使命は、品種改良や技術開発でコーヒーの生産量を保ち、増やすこと。その主役はあなたたち、生産者にほかならない。いいコーヒーをもっと生産し、いい暮らしを実現してほしい。そのためにも生産者を全面的にバックアップしていきたい」
IMLVTの始動を受け、WCRのティム・シリング会長が今年10月、トラジャのパダマラン農場を視察。「キーコーヒーとインドネシア側の相互協力は予想を超え、問題解決に向けて懸命に努力してくれている」と謝意を示し、同時に生産の担い手である生産者を重視すべきだという考えを繰り返し強調した。