外食大手に広がる「休業日」、深刻な人手不足で進む働き方改革 大戸屋は40店で「大みそかと元日休みます」

全国一斉の休業日を導入するロイヤルホスト=福岡市南区
全国一斉の休業日を導入するロイヤルホスト=福岡市南区【拡大】

 「年中無休」の看板を下ろす動きが外食大手に目立ってきた。大戸屋ホールディングス(HD)は18日、定食チェーン「大戸屋ごはん処」の直営店の約半数に当たる80店を、今年の大みそかと来年の元日に休業すると発表。深刻な人手不足を背景に、各社が「働き方改革」を進めつつある。

 大戸屋は今年の元日もビジネス街を中心に40店舗を休業としたが、規模と日数を倍増させる。窪田健一社長は18日の記者会見で「無理に営業するよりも、従業員の心と体の健康を保ちたい」と狙いを説明した。

 ロイヤルHDは、天丼チェーン「てんや」直営店の8割に当たる約120店舗を元日に休業。「ロイヤルホスト」は5月と11月にも一斉休業日を設ける。居酒屋のテンアライドも、「旬鮮酒場天狗」など全店で大みそかを休みにする。

 一連の動きについて、いちよし経済研究所の鮫島誠一郎主席研究員は「(先行したロイホなどが)深夜営業を短縮しても、さほど業績に影響しなかったことが背中を押している」と分析。ただ、業界全体への拡大に関しては「人が動く季節は書き入れ時でもある。経営者の考え方にも左右されるだろう」とみる。

 実際、モンテローザは今年、居酒屋「白木屋」など10店舗で試験的に日曜か月曜を定休日としたが、11月で終了。「広げる予定はない」(広報)という。

 3年前、人手不足で6割強の店が深夜営業停止に追い込まれたゼンショーHD傘下の牛丼店「すき家」は「いつでも入れる『食のインフラ』」(小川賢太郎会長兼社長)を掲げ、ほとんどを24時間営業に戻した。

 しかし、三大都市圏の外食関連のアルバイト・パートの平均時給は11月に988円となり、前年同月比23円上昇(リクルートジョブズ調べ)。採用コストもかさむ中、働きやすさを高めて離職率を抑えることが業界全体の課題だ。

 セルフ式レジや注文用タブレット端末の導入などITを活用した省力化も進む。「特効薬はなく、一つずつ積み重ねるしかない」(窪田氏)のが実情だ。