強まる商工中金の完全民営化論 慎重論の政府と温度差 次回20日会合は非公開で議論 (2/2ページ)

 しかし、経産省には完全民営化に慎重な声が根強い。平成20年のリーマン・ショックのような混乱が起きた場合、「民間金融機関では貸し渋りが起きる」(幹部)との思いがあるからだ。問題のほとぼりが冷めた後の天下り先として、商工中金を政府系に残しておきたいとの思惑も透けてみえる。

 仮に早期の完全民営化が決まった場合でも、政府が保有する約46%の株式を売却できるかが課題となる。設置法で政府以外は中小企業などの協同組合とその傘下の組合員しか株主になれない規定があり「そう簡単に買い手が探せない」(金融関係者)からだ。

 有識者検討会は当初、年内にも結論を示す予定だったが、辞意を表明した安達健祐社長の後任人事を含め懸案が山積し、経産省では「慌ててまとめるより年を越したほうがいい」(幹部)と拙速な意見集約を避ける動きが強まる。

 世耕弘成経産相は「(有識者会議の)結果は真(しん)摯(し)に受け止め、しっかり改革に反映する」と断言するが、踏み切れるかは不透明だ。

(蕎麦谷里志、田辺裕晶)