【フジテレビ商品研究所 これは優れモノ】ダイニチ工業 「ブルーヒーター」

「秒速消臭システムプレミアム」を搭載した最上位モデルSDRタイプは木造戸建で10畳~15畳用まで3タイプ。市場想定価格30,000~41,900円前後
「秒速消臭システムプレミアム」を搭載した最上位モデルSDRタイプは木造戸建で10畳~15畳用まで3タイプ。市場想定価格30,000~41,900円前後【拡大】

 □ダイニチ工業 石油ファンヒーター「ブルーヒーター」

 ■短時間で暖房 消臭力も大幅アップ

 冷え込みが厳しくなり、朝、布団から出るときや外出先から帰ると、まずは暖房をつけるという人も多いのではないか。今回の「これは優れモノ」は、すぐに暖まって臭いも少ない家庭用石油ファンヒーターを取材した。

 ◆業界最速の着火時間40秒

 「1971年の発売以来、累計生産台数が3000万台の大台に乗りました」と石油ファンヒーターの根強い人気を誇らしく語るのは、ダイニチ工業(新潟市)暖房機開発課の川瀬寛道さん(40)。川瀬さんは入社以来、家庭用暖房機器の開発に携わってきた。

 バーナーや風呂釜を作っていた同社が、煙突が不要ですすも出ない石油ファンヒーターを開発したのは71年のこと。第1号商品は燃料となる灯油を青い炎で燃やすことから「ブルーヒーター」と名付けられた。

 川瀬さんによると「青い炎が出るのは灯油をガス化して空気をよく混ぜてから燃焼させるため」で、赤い炎に比べてすすなどの不純物が出ず、臭いもほとんど残らないという。

 石油ファンヒーターの燃焼方式には主に、燃料の灯油を気化筒でガス化して燃やす「ブンゼン式」、燃焼筒に直接灯油を流し込み燃焼させる「ポット式」、熱した気化筒で灯油と空気を混合させて燃やす「ポンプ噴霧式」の3つがある。

 ブンゼン式は同社が日本で初めて石油ストーブで採用したもので、他の方式より点火までのスピードが速く、短時間で部屋を暖めることができる。実際、同社製石油ファンヒーターの着火時間は業界最速の40秒で、同社が80年に作ったこの記録はいまだに破られていない。同社の試験では、木造住宅で室温8度の10畳の部屋は、着火後16分ほどで20度まで上げられた。

 石油ファンヒーターは、足元から部屋全体までを素早く暖められるのが利点の一つだ。だが、燃料となる灯油には独特の臭いがある。川瀬さんによると「臭いの問題を除いて着火や燃焼性能などの技術革新はある程度のところまできており、消臭だけが課題だった」と言う。

 ◆ガスの燃え残り防ぐ

 そこで同社はまず、灯油をガス化して完全燃焼させる技術開発に取り組んだ。同技術により、石油ファンヒーター使用中の臭いをほとんど気にならないレベルに抑えることが可能となった。

 ただ、機械を停止した際、燃え残ったガスが温風と一緒に室内に送り出されることで臭いが出てしまう問題が残った。同社の技術陣が出した答えは、停止時に燃え残ったガスをバーナーの余熱で燃やすことだった。

 さらにガスの噴き出しノズルの先端を完全にふさいだ。これら「パワフル秒速消臭システム」で消臭力の大幅アップに成功した。「理屈では簡単なのですが、技術的にはかなり高いハードルでした」と川瀬さんは話す。

 同社はその後も不断の技術開発を進めている。今年8月末から販売を開始した改良型は、バーナーの高温時間を長くして燃え残ったガスをしっかり燃やしきる「秒速消臭システムプレミアム」を導入。従来型に比べて消火時の臭いがさらに40%低減した。「この次の課題を見つけて、さらに良いものを作りたいです」。川瀬さんは飽くなき技術者魂をのぞかせた。

                   ◇

 ≪interview 担当者に聞く≫

 □ダイニチ工業 暖房機開発課・川瀬寛道氏

 ■国産へのこだわり 技術伝承と信頼につながる

 --累計生産台数が3000万台となった

 家電量販店における暖房器具の販売金額で、石油ファンヒーターはエアコンを除いて一番となっている。業界の出荷台数はここ10年、毎年200万~310万台程度で推移している。弊社の1日当たり生産台数は約6000台、年間にすると約120万台のペース。10年連続で石油ファンヒーターの販売台数シェア1位を確保させていただいている。給油の手間や臭いといった石油ファンヒーターの弱点をカバーした点が評価されていると考えている。

 --需要の大きい時期や地域は

 11、12月が一番売れる時期だ。特に10月から気温が下がったり、暖かい日が続いて突然寒くなったりすると、販売台数が伸びる傾向がある。また、週の半ばに寒い日が続くと週末の家電量販店でよく売れる。今年は10月から気温の低い日が続いたので、順調に伸びている。地域別では東北と関東、関東では特に千葉、埼玉などでの需要が大きい。

 --生活スタイルの変化を受けて小型タイプも出している

 日本工業規格(JIS)で外装素材が金属製と決まっているため、軽量化はなかなか難しい。また温度調節やタイマー機能などはマイコン制御のため、熱が電子部品に影響しないよう一定の空間を設けておく必要がある。ただ、最近の住宅事情や世帯構成の変化などから暖房出力を抑えた小型タイプを販売しており、人気を集めている。意外に知られていないが、灯油を燃やすとその分だけ水分も出る。このため、石油ファンヒーターを使うと部屋が乾燥しにくいという利点もある。

 --海外展開もしているが生産は国内だ

 弊社は地域密着型企業で、全て新潟の工場で生産している。国産へのこだわりは、技術力の伝承と消費者からの信頼につながっている。製品に自信を持っているので、1998年からメーカー保証3年をうたっている。韓国、中国、ヨーロッパ、南米など海外でも需要がある。だが国によって灯油の品質に違いがあるので、製品保証の面でも主戦場は国内と考えている。

                   ◇

 ■フジテレビ商品研究所

 「企業」「マスコミ」「消費者」をつなぐ専門家集団として1985年に誕生した「エフシージー総合研究所」内に設けられた研究機関。「美容・健康科学」「IPM(総合的有害生物管理)」「食品料理」の各研究室で暮らしに密着したテーマについて研究している。

 http://www.fcg-r.co.jp/lab/