メルカリ、電話窓口設置など高齢者もサポート

 メルカリが人工知能(AI)を強化するのは、出品のハードルを下げることで、新規利用者を取り込むとともに既存利用者にもアピールし、流通総額をさらに伸ばす狙いがある。一方で、違法出品が相次いだ教訓から、小泉文明社長は社会的な責任を担う重要性を強調した。

 メルカリは、競合のヤフーのオークションアプリの「ヤフオク」などに比べて出品しやすいアプリの使いやすさで、利用者を伸ばし、ダウンロード数も国内で6000万件を超えた。

 現在はアプリの使い勝手をAIなど先端技術の導入でさらに改善する段階で、山田進太郎会長は、メルカリの研究開発組織の設立会見で、「技術で差別化し、技術的なバリュー(価値)を作るように意識している」と述べた。

 AIの強化については、商品のブランド名やサイズから配送するための梱包まで「最終的にはスマートフォンのカメラで商品を撮ったら、出品まで全部できるようにする」(小泉社長)ことを目指す。メルカリには商品の写真など購買のデータベースが膨大にあり、このデータベースをアピールすることでAIエンジニアを増やしていく考えだ。

 また、先端技術の導入以外でも、使い方を説明する動画を準備したり、電話の問い合わせ窓口を設置したりするなど、高齢者でも利用しやすくするようなサポート強化も進める。

 一方、今年1年間で違法出品などが相次いだことから、メルカリは今月から初回出品時の本人登録を義務づけるなど社会的責任の強化を図っている。小泉社長は「未上場だが上場企業と同じくらいの社会的使命を実感した1年だった」と語り、「利用者に上場企業と認めてもらえるように、まだカスタマーサポートを強化しないといけない」と述べた。