【フロントランナー 地域金融】南都銀行田原本支店の上田伊都美さん(2)


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 ■リスクもプラスも具体的に説明

 南都銀行田原本支店の上田伊都美さんは預かり資産営業の担当エリアの町内全域をバイクで巡るため、タブレット端末で位置情報をチェックしながら訪問予定を管理し、1日10軒の訪問を実現している。

 訪問のアポイントは、過去の折衝履歴を参照しながら、顧客ごとに都合の良い曜日や時間帯を見極め電話をかけて取得。窓口に来店した顧客で、時間がなく満足に面談できなかった場合でも「ご都合のよろしい時間に、お電話でもご案内できますよ」と声をかけ、接触機会を増やしている。

 「店頭では『もう少し詳しい説明をご希望でしたら、お電話差し上げましょうか』と申し出ると、訪問の依頼をいただけることも多いです。不在の際には留守番電話へ伝言を具体的に残しておくと、その後反応をいただきやすいと感じています。また一人暮らしのお客さまなどには『お誕生日おめでとうございます』など、時期に応じたひと声を添えてアポイントをお願いするようにしています」と、上田さんは話す。

 こうした気遣いあふれるアプローチで、顧客との親密な関係を築いている上田さんは、ときには見込み先の家族にも顔を覚えてもらえるようにアポなしでの訪問も行っているという。

 アプローチ先には、証券会社で個別株などを保有する投資経験豊富な顧客が少なくない。一方で「知人が分配型を買っていて、なんとなくもうかりそうだから」などと、投資信託の明るい側面だけを見て心が動いているような投資初心者もいる。

 上田さんには、過去、投資経験が浅くリーマン・ショック後に損失を被った顧客のフォローで苦心した経験がある。そこでそうした顧客には、具体的なファンドの値動きの例を見てもらい、リスクを認識してもらいながら、プラスの期待も持ってもらえるような説明を心がけているという。

 タブレット端末で騰落率などを示しながら、「1年前に買っていた場合はこの金額で、現時点ではこれだけ下がっています。ただ、途中の〇月時点ではこれだけ上がっていました」などと、基準価額や損益の推移を実際の数字で見てもらう。合わせてどの程度の損失であれば許容できそうかを顧客に考えてもらうことで、マイナスのリスクにも意識が向き、投資に対する顧客の姿勢を明確にしていく。

 最近の活動の中で目立つのが、退職金の残りや定期預金の満期である程度余資ができ、「預金に置くつもりはないが、全額を一度に投資するのも気後れする」という顧客の声だ。そこで、南都銀行で5月から開始した「〈ナント〉ロビンソン」という期間設定型投資信託の仕組みを一つの選択肢として提案している。

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 (編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp