不正融資が発覚した商工中金について、今後の在り方を議論する政府の有識者検討会が27日開かれ、3~5年後の完全民営化を目指すよう提言する方向性を固めた。商工中金の事業領域を経営状況が悪く、債務者区分で「要注意先」とされる企業などに限定し、経営再建や事業承継などを支援する組織とする。年明けの次回会合で、とりまとめ案が示される予定だ。
検討会の座長を務める大和総研の川村雄介副理事長は「異論もあると思うが、3年から5年かけて民営化していくというイメージだろう」と、これまでの議論を総括した。委員の中からは「国策銀行にすべきだ」といった意見も出たが、完全民営化を主張する委員が大半を占めた。
将来的な完全民営化を目指すのは、商工中金が手掛ける事業領域は地域金融機関も進出を狙う分野で、政府系のままだと再び民業圧迫との批判が出かねないことが理由だ。不正融資の温床となった危機対応業務については必要性を指摘する声も多いことから、とりまとめ案に存続を盛り込むが、危機の定義を明確にして期限も設ける方向。外部に第三者委員会を設置し、監視することも求める。