経済環境良好の今こそ果敢な戦略を 経済同友会・小林喜光代表幹事 (2/2ページ)


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 --この状況の中でどういった取り組みが必要なのか

 「経済の環境がいいこの時期に、イノベーションをベースにした成長戦略を果敢に進める必要がある。イノベーションは10年のスパンで考えるものだ。アベノミクスの金融緩和と財政出動によって稼いだ時間を生かして、今後5年先を見越して、素材革命や自動運転、ロボット化やAI(人工知能)化に備えるべき。2020年の東京五輪・パラリンピックが終了しても、日本経済が縮小しないように、日本らしいイノベーションを生み出すべきだ」

 --そうなるとデフレ脱却をどう進めるのかが正念場だ

 「(こっそり行う資産購入額の漸減である)ステルス・テーパリングに続き、いつデフレ脱却を宣言するのかが重要だ。欧米が利上げを進めていくなかで、いつまでも日本だけが金融緩和で、円安に誘導していてもいいというわけではない。その時期が今年なのか、来年なのかは分からないが、同時に物価が上がらないことが本当に悪なのかを議論しなくてはならないだろう。飽食の時代でシェアリングエコノミーも広がるなど、モノが飽和した社会の中で、かつてとは消費の仕組みが全く異なってきている。物価は上がらないが、経済は一定程度成長して、人々の生活が豊かになるなら、そう悪いことではない。だが、心の問題としてデフレ脱却は必要だ」

 --何が必要なのか

 「将来への希望を持ちづらく、高齢化が進む中で、自らが(老後の資金などを)備えておかなくてはならない。日本人のメンタリティーとしては、自分で何とかしようと考えるだろう。そのためには社会保障制度改革をゼロベースで取り組む必要がある」

 --具体的には

 「財政の健全化、とりわけ今の社会保障制度は、安倍政権発足以来、考え方は変わっていない。だが、社会保障について考え直す必要に迫られている。全世代型にするのならどうすればいいのかを考えなくてはならない。抜本的な改革を進めるには、具体的な根拠を示して議論しなくてはならない。社会保障にこれだけ必要となれば、消費税率を10%どころか、それ以上に引き上げなくてはならないことも理解される」

 --昨年、企業の製品データ改竄(かいざん)などの不正が問題になった

 「法令順守が最も重要だ。なあなあだとか、『あれぐらいなら許される』といった解釈は許されない。グローバルでは全く通用しないことだ。経営者は常に、コンプライアンス(企業統治)、安心、安全を語り続け、企業の文化を変える努力を継続しなくてはならない」

【プロフィル】小林喜光

 こばやし・よしみつ 東大大学院修了。1974年三菱化成工業(現三菱ケミカル)。三菱ケミカルホールディングス社長を経て、2015年4月から会長。15年4月に経済同友会代表幹事就任。71歳。山梨県出身。