パイロット不足、対策急ピッチ 航空業界、学生定員増や奨学金創設 (2/2ページ)

授業で小学生に説明する全日空の機長=2017年10月
授業で小学生に説明する全日空の機長=2017年10月【拡大】

 17年、北海道を拠点とするAIRDO(エア・ドゥ)では、退職による機長不足で11月以降、欠航や路線廃止に陥るという事態が生じた。大手とは異なり、自社でパイロットを養成できない中堅や格安航空会社(LCC)にとって、もはや人員不足は待ったなしの問題だ。

 年齢制限引き上げ

 現在年間計300人程度の国内各社の採用数は、30年ごろには400人規模に拡大する必要があるとされる。これに対応しようと、18年度、国立の航空大学校(本校宮崎市)は定員を1.5倍の108人に拡大、私立でも工学院大(東京)が養成専攻を新設する。

 パイロットの卵への経済面での支援も。2000万円以上とされる重い学費の負担を考慮し、私立大など6つの民間養成機関の学生に、1人当たり500万円を貸与する奨学金制度が18年度スタートする。保証料の一部を負担するのは全日空グループと日航だ。

 即戦力のベテラン世代への期待も大きい。国は15年にパイロットの年齢制限を64歳から67歳に引き上げ、定年(日航や全日空は60歳)後に再雇用されたり、LCCなどに再就職したりして操縦桿(かん)を握り続ける60代も目立つようになってきた。

 国土交通省乗員政策室は「いろんな部分に手を打って裾野を広げ、全体的に底上げすることが重要だ」と強調した。

【用語解説】航空会社のパイロット

 乗務への第一歩として「事業用操縦士」などのライセンスが不可欠となる。国立の航空大学校、東海大や法政大といった私立大、専門学校、訓練事業会社で取得できるほか、大手の日航や全日空は、採用後に取得させる自社養成も実施している。さらに訓練を続け、副操縦士になると初めて乗務できる。機長に昇格するには「定期運送用操縦士」の資格取得や国土交通相による認定が必要となる。