【株式ニューカマー】目視に近い画像処理技術で検品、海外展開


【拡大】

 ■ヴィスコ・テクノロジーズ 足立秀之社長

 画像処理検査装置メーカーのヴィスコ・テクノロジーズは、2017年12月13日、東証ジャスダック市場に新規上場した。同装置は、主に工場の生産ラインに用いられ、電子部品や半導体のほか、医薬品、食品など幅広い製品の不良品を検出する。人による目視検査に代わる画像処理に特化し、独自の高度な技術を深掘りすることで、差別化を図る。

 足立秀之社長は「企業理念である『画像一筋』に、世界の顧客に対して画像処理ソリューションを提供する」と話す。

 --独自技術の製品とは

 「代表的なものとして『超深度カメラ』を開発した。斜めから対象物を撮影しても焦点を合わせられることが他にはない特徴だ。人が目視で検査する場合は、対象物を斜めから見ると光の当たる角度によって傷などの欠陥が分かりやすくなる。しかし、通常のカメラでは焦点を合わせることが難しく適切な検査ができない。超深度カメラを使うことで、以前より製品の欠陥を見つけやすくなる。また、人の目視検査をどうすれば画像検査に置き換えられるかという考えから、独自にアルゴリズムの技術を研究開発し、目視検査に近い精度を実現している」

 --業績の推移は

 「コネクターメーカーへの販売が好調で、過去4期は売上高で平均14%増の2桁成長を続けている。取引社数も拡大しているため、18年3月期の売上高は前期比7.7%増の31億円、経常利益は同14%増の3億円を見込んでいる」

 --画像処理検査装置の市場環境は

 「世界中のどの地域でも画像検査は成長分野とされている。製造現場の自動化が進むとともに、装置の導入も増加すると見込まれている。携帯端末の普及で電子部品自体が小型化しているため、肉眼では対応できなくなっていることも伸びが期待される背景にある」

 --調達資金の使い道は

 「研究開発費に充てる。新製品を開発して市場に投入し、当社の技術力の高さを再認識してもらいたい」

 --今後の展望は

 「当社の装置は電子部品・半導体分野に最も導入されており、今後さらに増えていくだろう。特に自動車関連では電気自動車(EV)の登場で、電子部品生産ラインでの使用が急速に伸びているので有望だ。IoT(モノのインターネット)の進展も影響するだろう。これからも画像処理に特化して技術を先鋭化させ、グローバルでソリューションを提供していく」

                   ◇

【会社概要】ヴィスコ・テクノロジーズ

 ▽本社=東京都港区海岸1-11-1 ニューピア竹芝ノースタワー20階

 ▽設立=2003年8月

 ▽資本金=4億4694万円

 ▽従業員=97人(17年9月末時点、連結ベース)

 ▽売上高=31億100万円 (18年3月期予想)

 ▽事業内容=画像処理システムの開発・製造・販売・保守

                   ◇

【プロフィル】足立秀之

 あだち・ひでゆき 大阪電気通信大工卒。1989年アナログ・デバイセズ入社。松貿電子部品(現PTT)、コグネックスを経て、2003年8月ヴィスコ・テクノロジーズを設立し、現職。52歳。京都府出身。