【2018 成長への展望】キリンホールディングス社長・磯崎功典さん(64) (2/2ページ)


【拡大】

 --ベトナム国営ビールの株式売却で応札を見送ったのは

 「もし出資すればキリンの株価に大きく響いただろう。価格が適正かどうかというのも、ブラジルで学んだ教訓だ。長くて10年でペイできる投資額に抑えないと。またベトナムは外資規制があり、出資比率の過半を取れないため、慎重にならざるを得なかった。昨年はミャンマーでビール大手を買収したが、海外の大きな案件はほぼ出尽くした感がある。今後はシェアを一気に獲るオセロゲームでなく、知恵の勝負に移る。現地のローカル企業と提携しながら、プレミアムビールの市場を開拓するような取り組みを考えたい」

 --ブラジル事業売却で、売上高がサントリー、アサヒに次ぐ国内3位となった。今後の成長戦略は

 「順位は気にしていない。売却したことで収益力が大幅に改善した。ボリュームを追うよりも、そちらの方が大切だ。今後は健康領域の事業を強化し、持続的成長の基盤へと育てたい。発酵や微生物、免疫力に関する研究の蓄積は、キリンの強みだ。昨年はプラズマ乳酸菌を配合した商品の新ブランド『iMuse(イミューズ)』を立ち上げ、飲料やサプリなどを売り出したが、第2弾以降も準備中だ」

【プロフィル】磯崎功典

 いそざき・よしのり 慶大経卒。1977年キリンビール入社。2008年キリンホールディングス執行役員、常務などを経て12年キリンビール社長。15年3月から現職。神奈川県出身。