【2018 成長への展望】日本生命保険社長・筒井義信さん(62)


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 ■機動的な新商品の供給体制を整える

 --2018年の経営のテーマにしたいことは

 「超低金利環境の構図はしばらく変わらない。18年度は4カ年の中期経営計画の2年目に入る。中だるみしないように、むしろ4カ年計画の達成にめどをつける1年にしたい。超低金利下でいかに収益を確保するかが、経営のメインテーマだ」

 --営業職員以外の販路拡大に努めてきた

 「市場拡大が続く乗り合い代理店、銀行窓口販売の両チャネルに対し、それぞれ商品供給専門の子会社を作り、機動的に新商品を出していく体制を整えたい。M&A(企業の合併・買収)で実現するか、自前で子会社を作るかは時間をかけて検討したい。日本生命保険だけで包括的な商品供給をしていくのは難しくなってきている」

 --今後の資産運用戦略は

 「米国債の投資冥利(みょうり)が薄れてきていることから、フランス国債への投資を増やすなど、外債の投資先の地域分散を進めている。海外社債投資は残高が3兆円超と、順調に積み上がっている。成長・新規領域で軸にしたいのは、プロジェクトファイナンスだ。(環境保全や社会問題解決につながる)ESG投資は4カ年で2000億円の目標を超過するペースだ」

 --海外M&Aの方針は

 「保険か資産運用の分野で、地域分散を図りながら、新しい事業機会の模索をしたい。国内外ですでに実行した案件については、相乗効果を最大化できるように経営資源を使って育てていきたい。出資を終えた米資産運用会社TCWには、当社から人材を派遣し、運用力のバージョンアップを図る。TCWにはグループ収益力向上の一翼を担ってほしいと期待している」

 --三井生命保険との連携強化に向けた取り組みは

 「商品の相互供給は軌道に乗りつつある。成果を見極めつつ、第2弾、第3弾へとつなげたい。資産運用に関しては、時間をかけて三井生命の逆ざや解消を目指したい。運用部門の人材交流を進め、海外社債投資のノウハウを共有するなど、三井生命が得意とする外貨建て保険商品を運用面で支えたい。コスト削減効果を目指し、18年中にも、投資している証券の管理業務の共有化に取り組みたい」

 --今年の春闘に対するスタンスは

 「政府の賃上げ要請に対し、世の中全体がどう対応していくのか、よく見て考えたい。賃上げそのものも重要だが、働く環境整備、労働条件の向上も射程に入れた対応がこれからは必要になってくる」

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【プロフィル】筒井義信

 つつい・よしのぶ 京大経卒。1977年、日本生命保険入社。常務執行役員、専務執行役員などを経て、2011年から現職。兵庫県出身。