【フロントランナー 地域金融】北海道銀行の地方創生の取り組み(6)

ウラジオストクの中心部に開設した道産品のアンテナショップ「MANPUKU-NEKO(まんぷく猫)」
ウラジオストクの中心部に開設した道産品のアンテナショップ「MANPUKU-NEKO(まんぷく猫)」【拡大】

 ■道産品を露の流通網へ 決済も支援

 北海道銀行と北海道総合商事の連携によるロシアビジネスの支援業務はスタートしてから一定の年月が経過し、現地ネットワークやノウハウを蓄積できた。日本からの輸出の取扱品目はコメやタマネギ、ジャガイモ、リンゴなどの農産品やその加工品、清涼飲料や寒冷地向け住宅建材などが中心。近年の極東ロシアは生活水準が上向いており、中国産より割高でも安全・安心で高品質な道産品の需要が見込まれるという。

 一方、本格的な輸出拡大に向けては課題も浮き彫りになってきた。ウラジオストクは国際港で、物流インフラは整備されている。だが、道内の人にはその物流機能をどう活用して現地に届ければいいか分からないという課題がある。何より輸送コストが分からないと、商談時に販売価格を提示できない。「言語や商習慣の壁もあり、煩雑な通関手続きや代金回収リスクをクリアする必要もある」(北海道総合商事の伊藤彰浩営業部長)。

 そうしたさまざまな課題を踏まえ、北海道銀行は、地元自治体とも連携しながら、極東ロシアをはじめ東南アジア諸国などに輸出を希望する取引先を発掘。北海道総合商事や駐在員事務所とともに、道内企業の生産品を現地の流通網に乗せるまで手厚いサポートを展開し、地元企業や農業者の輸出ビジネスを全面的にバックアップしていく。

 もちろん、金融の専門家として、代金回収リスクに対応するために「L/C(信用状)」や貿易保険の活用をアドバイスしたり、ルーブルなど決済通貨の為替リスクを軽減するために為替予約の活用なども提案する。

 また、北海道総合商事では昨年4月にウラジオストクの中心部に道産品のアンテナショップ「MANPUKU-NEKO(まんぷく猫)」を開設するなどの取り組みも行っている。

                  ◇

 (編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp