【現場の風】みずほ信託銀行 地銀向け信託商品の拡充検討


【拡大】

 □みずほ信託銀行 信託フロンティア開発部部長・森下充弘さん(50)

 --信託フロンティア開発部の業務は

 「新商品の開発や統括を行っている。みずほ銀行やみずほ証券といったグループ横断的な検討が必要な、通常よりも時間のかかる商品開発を手がけている。部員14人の出身はさまざま。新しいアイデアが生まれやすく、グループ会社とも連携しやすい」

 --昨年8月には、高齢者向けに「選べる安心信託」を発売した

 「資産の保全や承継などの金融機能に加え、異業種との連携により、介護や見守り、家事代行などのサービスをパッケージで提供している。当行がハブとなって、高齢者の幅広いニーズに対応している。多様性が受け入れられる社会になった現状を踏まえ、同性パートナーでも資産の受取人になれるようにした。これまでに330件、120億円分の契約をいただいた」

 --地方銀行との連携を深めている

 「遺産分割協議を経ずに、特定の相続人に預金の中から決まった金額を渡せる『遺言代用信託』を地銀向けに開発した。提携先の地銀がオリジナルの商品名で売り、自行の口座を使って申し込みを受ける仕組みにした。地銀にとっては、相続人となる次世代の口座を獲得できるほか、預金の流出を防ぎ、手数料収入を拡大できる利点がある。資産承継型の商品でも、こうした仕組みの展開を検討したい」

 --今後の目標は

 「日本全体の産業構造が大きく変化してきている。たとえば、高齢になっても仕事を続ける時代になり、高齢者が自分が培ってきたスキルを売る、スキルのパートタイムが増えてくるかもしれない。こうした変化には必ずビジネスチャンスがついてくる。事業構造の変化に呼応するような商品やサービスを考えていきたい」

                  ◇

【プロフィル】森下充弘

 もりした・みつひろ 京大経卒。1990年4月(安田信託銀行(現みずほ信託銀行)入社)。信託ファイナンス営業部、コンサルティング部、信託プロダクツ企画部次長などを経て、2014年4月から現職。山口県出身。