日米ゼロックスを経営統合 戦略に狂い、古森会長正念場

 富士フイルムホールディングス(HD)は、業績不振が続く米複写機大手ゼロックスの再建に乗り出すことになった。医療分野に力を入れて成長を目指してきただけに、戦略に狂いが生じた印象は否めない。2000年以降、経営トップとしてグループのかじ取りを担ってきた古森重隆会長は正念場を迎える。

 富士フイルムHDは、デジタルカメラの普及で主力の写真フィルムの市場が大幅に縮小する事態に見舞われたが、古森氏の陣頭指揮で医療機器や医薬品事業へ大胆にかじを切り、危機を乗り越えた。近年は将来が期待される再生医療分野への投資も強化している。

 米ゼロックスとの合弁会社である富士ゼロックスは、日本やアジアで事務機事業を展開している。業態を転換するグループの屋台骨を支え「孝行息子」と言われてきたが、近年は市場の成熟もあり収益力低下が目立つ。米ゼロックスは地盤の欧米でペーパーレス化が加速し、事業を取り巻く環境は富士ゼロックス以上に厳しい。

 今回の米ゼロックスの買収は、物言う株主で知られる著名投資家が米ゼロックスに経営の抜本的な見直しを迫ったことが背景にある。富士フイルムHDは01年に米ゼロックスの持ち分を一部取得して富士ゼロックスへの出資比率を75%に引き上げた経緯があり、またも事実上の救済を求められた形だ。

 古森氏は昨年6月、不正会計問題が発覚した富士ゼロックスの会長を兼務し、企業統治の改善を急いでいるが、さらなる難題を背負い込んだ。