“ぶどう争奪戦”も…新ルールが中小ワイナリー直撃 「河内」「柏原」ワイン、消滅の危機 (2/4ページ)

大阪を含む関西のワインを守るため奮闘する高井利洋さん。自身が経営するワイナリーは100年以上の歴史を誇る=大阪府柏原市の「カタシモワインフード」
大阪を含む関西のワインを守るため奮闘する高井利洋さん。自身が経営するワイナリーは100年以上の歴史を誇る=大阪府柏原市の「カタシモワインフード」【拡大】

  • 来春から大阪府羽曳野市で始動する「ぶどう・ワインラボ」のイメージ図=大阪府立環境農林水産総合研究所提供

 根本的対策なく「植える苗木を増やすしかない」

 国税庁が27年に策定したワインの表示をめぐる新基準によると、「◯◯産ワイン」と地名を表示できるのは、その地域産のぶどう85%以上を使い、当該の地域で醸造されたケースに限られる。

 ワインの品質を保証するため、多くの国では表示に関する基準があるが、日本ではこうした明確な基準がなく、輸入果汁をもとに国内で作った品を「国産ワイン」と表示するなどのケースがあり、消費者から品質の違いが分かりにくいなどの声があがっていた。

 28年度の国税庁の「国内製造ワインの概況」によると、国内のワイン事業者は283。このうち中小事業者にあたる「資本金3億円以下の法人並びに従業員300人以下の法人及び個人」は約270に及ぶ。

 新基準は、こうした中小事業者を“直撃”するとみられている。

 70年以上にわたり事業を続ける鳥取県北栄(ほくえい)町の「北条ワイン醸造所」の山田和弘専務(41)も、高井社長と同じく、危機感を隠さない。

 「現段階で根本的な対策はない。植えるブドウの木を増やすだけ」

 山田専務によると、昨年産では地元・北条砂丘のぶどうの使用率は約60%。残りは他地域産を使った。同社は28年10月の鳥取県中部地震で貯蔵タンクが壊れ、在庫の十数万本(1本720ミリリットル)以上が割れる被害も受けた。「苗木を植えてもワインができるまで最低でも3年はかかる。新基準は小さな業者にとって大打撃だ」と頭を抱える。

すでに“決断”を下したところも