ウィラー、高速バスの安全運行徹底 乗員体調管理へ宿泊棟を新設

新設された乗務員の宿泊棟。休息と栄養のバランスがとれた食事で健康増進を図り、顧客満足度向上につなげる=東京都江東区
新設された乗務員の宿泊棟。休息と栄養のバランスがとれた食事で健康増進を図り、顧客満足度向上につなげる=東京都江東区【拡大】

 高速バスを運行するウィラーエクスプレスジャパン(東京都江東区)は、乗務員用の宿泊棟を本社敷地内に新設した。健康に配慮した食事を提供するカフェテリアも併設し、積極的に乗務員の体調管理に取り組むことで安心安全なバス運行を実現し、顧客サービス向上を目指す。

 宿泊棟「新木場BASE」の1階にカフェテリアのほか、更衣室や喫煙室、洗濯機、浴室、リネン室を備え、2、3階に宿泊用の部屋がある。男性用75室、女性用4室で各部屋の広さは約6平方メートル。各室にベッド、エアコン、テレビ、ミニ冷蔵庫、簡易デスク・イス、ハンガーフック、遮光カーテン、姿見を備えている。

 カフェテリアでは日替わりで必ず野菜がつく食事を提供。エネルギー500キロカロリー台、塩分3グラム未満、野菜量約230グラムを基本にメニューを考案している。カロリーのほか、炭水化物、タンパク質などの栄養成分を表示し、乗務員の健康に対する意識醸成にも寄与する。

 バス業界では、脳梗塞や心筋梗塞などの病気や居眠り運転などによる事故が起きており、公共交通機関としての安全性を問われるケースも少なくない。

 同社では健康経営の取り組みとして、脳ドック、心不全、睡眠時無呼吸症候群などの検診を実施。結果をもとに社内に常駐する保健師が産業医と連携しながら、乗務員への保健指導を行っている。乗務中もITを活用した眠気探知機を2016年に導入して、翌17年には事故による車両損傷額を74%低下させる成果を上げた。自動運転装置付き新型車両を3月までに20台導入する計画だ。

 平山幸司社長は「乗務員の健康増進を図ることで、サービス水準が上がり顧客満足度も高まる。これからもしっかりと取り組んでいきたい」と話している。