高論卓説

EVの「全固体電池」開発に注目 (1/2ページ)

 ■高容量、安全、コスト…多面的な視点必要

 「100年に1度の変革」などとも表現されるが、気がつけば電気自動車(EV)の時代へと動いている。

 EVのコア技術は、充放電を繰り返し使える二次電池だ。この中でも、次世代電池として期待されているのが「全固体電池」である。昨秋の東京モーターショーで、トヨタのディディエ・ルロア副社長が全固体電池について、「2020年代前半に実用化を目指す」と発言する。これが盛り上がるきっかけでもあった。

 現在、日産リーフなどEVに搭載されているリチウムイオン電池(RIB)の電解質はみな液体だ。電池内部に電解液(リチウム塩有機溶媒)が封入され、「液RIB」などと呼ばれている。

 液体の電解質を固体とするのが、全固体電池である。実用化できれば、超急速充電が可能になり、EVの航続距離を飛躍的に延ばすことができる、などとメリットが強調されている。

 では、逆に固体の問題点は何か。1つは電解質と活物質(電極)との界面(境界)である。

 現在のRIBでは、リチウムイオン(陽イオン)が電解液の中を移動しながら、正極と負極とを行き来して充放電が繰り返される。正極は三元系(マンガン、コバルト、ニッケル)などのリチウム酸化物、負極は主にグラファイトを使うが、いずれも層状構造で充放電により内部にリチウムイオンが入り込む。これに伴い、電極は膨張と収縮とを繰り返すのである。

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