【日本発!起業家の挑戦】ハードウエアを扱う起業はなぜ難しいのか 体験者に聞く (1/5ページ)

ハードウエアを扱うスタートアップの成功について語るログバーのCEOの吉田卓郎氏
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 □音声翻訳機ili開発 ログバーCEO吉田卓郎氏に聞く

 ハードウエアを扱うスタートアップが失敗するのには理由がある。Logbar(ログバー、東京都渋谷区)の代表取締役兼CEO(最高経営責任者)の吉田卓郎氏とともにその理由を探り、スタートアップが成功するための方法を論じてみたい。吉田氏は2014年にクラウドファンディングのキックスターターで資金を調達したが、このキャンペーンはこれまでで最も成功したキャンペーンの一つとなった。

 ログバーで開発し販売するIoT(モノのインターネット)製品は2つ。1つは指にはめて家電製品などを操作するウェアラブルデバイスの「Ring Zero」、もう1つはオフライン音声通訳・翻訳機の「ili」だ。後者は今月(18年2月)にオンラインで一般販売を開始したばかりで、早速話題になっている。

 起業アイデアの虜

 --どのような経緯でハードウエアを開発するようになったのですか

 「学生の頃、サンフランシスコに1年半ぐらい住んでいて、スタートアップに関するアイデアの虜(とりこ)になりました。帰国後も毎年シリコンバレーに行ってベンチャーキャピタル(VC)に起業アイデアをいろいろと売り込みに行っていました。どれも成功しなかったのですが、トライすることはやめませんでした。13年に日本でログバーを設立しました。ログバーという名前は本当のバーから来ています。渋谷や汐留にiPadを使ってドリンクを注文したり来店客同士がつながったりできるソーシャルバーをオープンし、私自身がバーテンダーとして店に立っていました。その頃から従来の長いプロセスを短縮した新しいコミュニケーションを模索していたので、当時注目されていたウェアラブルデバイスを使ってスマホを取り出さなくてもメッセージできるような新しい方法を提案したいと思ってRing(Ring Zeroの初期モデル)の開発を始めました」

生産現場を信頼、パートナーの関係に