【現場の風】りそな銀行 中小の円滑な事業承継を後押し


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 □りそな銀行プライベートバンキング部長・根本賢治さん(51)

 --今年は中小企業などの事業承継に力を入れていく方針だ。現場では何が起きているのか

 「中小企業の経営者の高齢化が進み、会社を誰に引き継ぐかが大きな課題となっている。昔は長男が継ぐのが当たり前だったが、今は苦労させたくないとか、会社を継ぐのが全てではないという考えの人も増えている。ただ、会社も大事なので自分が引退後も発展してもらいたいのに後継者がいないという悩みが多い」

 --銀行にとっても重要な問題だ

 「お客さまが未来永劫(えいごう)発展することは回り回って銀行の利益にもつながる。しかし、事業承継できないと、そこで会社は終わってしまう。事業のスムーズな承継を手伝うことが、銀行の将来のためにもなると考えている」

 --簡単なビジネスではない

 「後継者問題や経営の実情など、家族にも話せないようなデリケートな話題でも、腹を割って話してもらう必要があり、どれだけ信頼してもらえるかがポイントとなる。解決策には親族や社内で後継者を探すほか、他社と一緒になる方法などもあるが、それぞれのケースに応じて、課題やリスクなどの具体的な話をする必要がある」

 --金融庁も奨励し、地域金融機関も力を入れようとしている分野だ。りそなの強みは

 「手数料収入を得るのを目的に、会社の売却ありきの提案を行う金融機関などもあるようだが、りそなは取引先との関係を続けたいという発想で、さまざまな選択肢を取引先の立場の視点で考えており、取り組む姿勢が違う。また、信託機能を持っているのも大きい。社長と事業承継の話をする中で、株を信託しようとか、遺言を残そうとしたときに、他の金融機関だと別の担当者が来て説明することになるが、りそなは同じ人間が一気通貫で全ての話ができる」

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【プロフィル】根本賢治

 ねもと・けんじ 中央大法卒。1989年4月埼玉銀行(現りそな銀行)入行。新都心営業第四部長などを経て、2016年10月から現職。東京都出身。