日本企業に合う少数持ち分投資


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 □モリソン・フォースター外国法事務弁護士事務所 パートナー外国法事務弁護士 ランディ・ラクサー氏

 ライフサイエンス分野で、少数持ち分投資を検討する日本企業が増えている。少数持ち分投資のメリット、デメリットや、実施する際の法律上の注意点をモリソン・フォースター外国法事務弁護士事務所パートナー外国法事務弁護士のランディ・ラクサー氏に聞いた。

 --ライフサイエンス分野のベンチャー投資が増えている

 「グローバルな視点からいえば、(事業会社自ら投資活動を行う)コーポレートベンチャーキャピタルがライフサイエンス分野への投資を積極化させている。日本企業の場合、バイオテクノロジーや製薬、創薬、医療機器企業への投資が盛んだ。地域別でみるとグローバルなバイオテクノロジー分野への投資では依然として米国が多く、企業数と投資総額のいずれも同分野のシェアの大半を米国が占めている。米国のバイオテクノロジー業界の事業立ち上げは、とりわけシリコンバレー、ボストン、ロサンゼルス、サンディエゴの、より幅広いライフサイエンス事業に牽引(けんいん)されている。投資の際、日本企業はM&A(企業の合併・買収)ではなく、少数持ち分投資を検討するケースが多い」

 ◆現実的な取り組み

 --M&Aと比べた場合のメリット、デメリットは

 「取引ごとに状況は異なるが、M&Aはマーケットシェアの拡大や、人材、知的所有権の獲得などを目的に当該企業を丸ごと飲み込む。これに対し少数持ち分投資は、部分的なパートナーシップを結ぶなど戦略的で限定的なやり方だ。より現実的な取り組みといえ、M&Aに比べてリスクを抑えられるメリットがある。日本企業は、日本やアジアの販売権の取得など営業上の取り決めを行うことを求め、そのような権利取得を条件として投資することが多い。また、日本企業の場合、当初の投資を最終的な買収の第1段階と考えている場合もある。ただ当然のことながら、少数株主であるがゆえに一定の支配力を得られないというデメリットがある。また、別のデメリットとして、最終目標が対象会社の買収であれば、少数持ち分投資をした後、将来M&Aをする場合は投資により最終的な買収価格が上昇する可能性がある点が挙げられる。とはいえ少数持ち分投資は、長期的、保守的にパートナーとの信頼を構築する多くの日本企業の文化に合っている」

 ◆対象企業に制限も

 --少数持ち分投資をする際の法律上の注意点は

 「こうした投資への条件を理解し、一定の内容の書類をそろえることが肝になる。ベンチャーの資金調達契約の多くは、金融ベンチャー投資家の視点から作成され、コーポレート・戦略的投資家に固有の問題は考慮していない。本来は、対象会社が日本の投資家と直接競合する企業から投資を受けることができないよう制限を設ける、または将来、対象会社を買収するための一定の先買権や優先交渉権を日本の投資家に付与することなどを定めるべきだ。当事務所は日本で30年の歴史を持ち、所属する120人の弁護士・外国弁護士のうち30人が専門性を持ってライフサイエンス分野に携わっている。日本のクライアントが何を望むかはどこよりも理解していると自負している」

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【プロフィル】Randy Laxer

 1994年米ミシガン州立大卒。98年米ミシガン大ロースクール法務博士。ニューヨーク州弁護士、第二東京弁護士会外国特別会員。クロスボーダーM&A、ベンチャー・キャピタル投資などを手がける。日本語に堪能。46歳。米ミシガン州出身。