【トップは語る】ストックボイス 市況のネット配信拡充へシステム構築


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 □ストックボイス社長CEO・倉澤良一さん(65)

 --創業から今年で14年。事業を始めたきっかけは

 「個人がインターネットを駆使して株価を調べたり売買する時代に移る中で、独自のネットメディアをつくりたいと考え、51歳で知人と共同創業した。最初の2年は音声のみで市況情報の実況生中継を行い、その後は動画配信も手がけ、2008年からは東京MXテレビ(MX)に市況番組『東京マーケットワイド』を供給している」

 --音声のみの場合と、映像を加える場合の違いは

 「映像は音声のみの場合と比べて、臨場感や視覚的に伝達できる情報量が格段に違う。ただ、音声を否定するつもりは全くなく、われわれは『映像のついたネットラジオ』と考えている。聴取者である個人投資家には、パソコンの画面は取引ツールを開いておいて、番組は音声のみを流している人もいる。キャスターの方々にも、言葉で市況をわかりやすく伝えるようお願いしている」

 --最近の主な取り組みは

 「17年10月から、兵庫県を対象地域とするサンテレビジョンにも東京マーケットワイドを朝の時間帯に限り供給している。11年からは三重県を中心に愛知、岐阜両県の一部もカバーする三重テレビ放送にも供給しており、08年からのMXを加えると、関東・中部・近畿で合計2500万超の視聴可能世帯を擁する形になった。日本国内では、個人株主の8割強がこの3地域に集中している」

 --今後の事業展開は

 「現状は広告収入が収益の柱だが、将来的には会員制の導入や課金システムへの対応、他社との提携に取り組み、広告収入に依存しない構造に変革していく必要がある。また、『人生100年時代』と呼ばれて老後を見据えた資産運用の重要性が高まる中、当社のような『マーケットメディア』へのニーズは高まるとみており、ネット配信の拡充に向けたシステム構築にも注力したい」

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【プロフィル】倉澤良一

 くらさわ・りょういち 1975年に日本短波放送(現・日経ラジオ社)に入社し、報道部で87年のブラックマンデーや97年の山一証券自主廃業などを取材。キャスターとして株式市況の放送も担当した。2004年5月に日経ラジオ社を退社し、6月にストックボイスを設立。現在に至る。新潟県出身。