コイル巻線機、世界シェア4割トップ 日特エンジニアリング・近藤進茂社長


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 ■5年以内に売上高倍増500億円

 銅線をらせん状に巻き付けたコイルは電流の安定、電圧の変換などに作用する電子機器に欠かせない電子部品として、家電製品やパソコン、スマートフォンなどの高機能化、自動車の電装化に伴い身の回りの製品に広く活用されてきた。使用する線材、巻き方といった微妙な違いによって大きく機能が変化することから、精密な製造ノウハウが不可欠になっている。日特エンジニアリングは、コイルを製造する巻線機で世界シェア4割を占めるトップ企業。近藤進茂社長は、「5年以内をめどに、売上高を倍増となる500億円に伸ばしたい」と話す。

 --競合と比べての強みは

 「コイルは製品、部品ごとに形状や求められる特性が異なる。このため巻線機は顧客のニーズに合わせて製造しなければならない。携帯端末、自動車、ICカード、家電などの多様な用途に対応可能な、世界で唯一の総合巻線機メーカーである研究開発、ノウハウの蓄積が当社のアピールポイントだ。巻線機は顧客の要望に応じてつくるオーダーメードだ。このため設計、組み立てには経験と職人技が必要で、他社がまねできない強みとなっている」

 --海外への展開は

 「売上高のうち海外が約7割を占めている。中国の蘇州と深センに工場を持ち、アジア各国・地域に現地法人や駐在員事務所を設置している。このほか欧州のオーストリアに工場、米国に現地法人がある。海外でも国内と同じ水準のサポートができるよう、人材育成には力を入れている。現地で採用した人材を日本へ派遣し、国内工場や営業部門で研修を兼ねて経験を積んでもらい、各国地域に送り出している」

 --技術流出の恐れは

 「海外生産は売上高の5%前後にとどめている。開発はすべて国内で行うので流出の懸念はない。コアな技術は海外には出さない方針だ」

 --期待する事業分野は

 「コイルを製造する巻線機だけでなく、組み立て、接合、検査、梱包(こんぽう)などの前後の工程を含んだファクトリーオートメーション(FA)ラインを提供することで、付加価値を高めていく。システム化を進めることで人手不足を解消できるほか、品質を向上させ、生産効率を上げる」

 --これから有望な市場は

 「今後、電気自動車(EV)の普及が急速に進むと予想される。このため電子部品が多く使われ、それに伴いコイルの使用量も増えるだろう。とくに中国は国策としてEV化を推進しているので有望だ。今期すでにEV関連の出荷が伸びているが、来年度から本格化するだろう。また人手不足を背景に、生産工程をデジタル化するスマート工場もインダストリー4.0が注目されていることから拡大するとみている」

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【プロフィル】近藤進茂

 こんどう・のぶしげ 中央大法卒。レジスター製造会社を経て、1977年日特エンジニアリング入社。営業部長、常務、専務などを経て、98年から現職。74歳。福岡県出身。