AI分野 論文投稿数や投資額、人材の層…日本の競争力、米中に見劣り

 AI分野の日本の競争力は、米国や中国に大きく見劣りする。権威ある米国人工知能学会への2017年の論文投稿数は、中国が全体の31%、米国も30%を占めたのに対し、日本のシェアは4%。投資額でも水をあけられている。

 AI開発を支えるIT人材の層の薄さも深刻だ。日本は100万人強で米国の4分の1。海外に比べ報酬面で魅力を欠くことが一因とされる。

 企業の研究開発投資ランキング(17年調査)では、米IT企業のアマゾン・コムやグーグルが上位に並んだ。日本は11位のトヨタ自動車が最高で、インターネット関連企業の存在感は乏しい。

 文部科学省の集計によると、日本のAI投資額は米国に比べ、政府予算で2割以下、民間では1割以下にとどまる。「国内総生産(GDP)の差を勘案しても後手に回っている」(日本総合研究所の山浦康史上席主任研究員)のが実情だ。

 開発競争の出遅れは経済成長の差となって表れる。米監査法人は、30年までのAIによるGDP押し上げ効果は中国で26.1%、北米で14.5%に達する一方、日本を含むアジア先進国は10.4%と見込んでいる。