金融

原油高、円高、トランプリスク… アベノミクスに黄信号 景況感が2年ぶり悪化 (1/2ページ)

 3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が2年ぶりに悪化した。原油高や円高・株安が響いたほか、トランプ米政権の保護主義的な通商政策など先行きの不透明感が企業心理を冷やし始めている。2日には中国政府が米国への報復措置に踏み切るなど、“貿易戦争”の様相が色濃くなっており、経済の好循環を目指すアベノミクスに黄信号がともり始めている。(蕎麦谷里志)

 大企業製造業の景況感悪化が目立ったのは化学や鉄鋼、非鉄金属など素材業種で、原油など資源価格の上昇が響いた。素材業種では仕入れ価格について「上昇」と回答した割合が、前回の昨年12月調査から12ポイント増加したのに対し、販売価格の「上昇」は4ポイント増にとどまり、価格転嫁ができていない状況もうかがえる。

 企業を慎重にさせている要因の一つが、今年に入ってから続く円高だ。3月末には1ドル=104円台を付けたほか、足元でも106円台で推移している。大規模な金融緩和を続ける日銀に対し、米連邦準備制度理事会(FRB)は金融政策の正常化に向けて金利を引き上げている。お金は一般的に金利の低い国から高い国に流れやすく、本来は円安になるはずだが、実際は真逆の動きをしている。

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