【株式ニューカマー】高所作業用の次世代足場で海外展開 信和・山田博社長

 建設用足場メーカーの信和は、中低層マンション・戸建て住宅向けに低コスト・短納期で設置できる「くさび緊結式足場」で国内シェア約4割を占める。手すりの抜け止め機能などを備え、高所作業での安全性を高めた次世代足場の事業を伸ばすとともに、工場や倉庫で物品の保管や搬送に使用するラックなどの物流機器分野も拡大する。3月20日に東証2部市場に新規上場した同社の山田博社長は、認知度を高め優秀な人材の確保を目指す。

 --商品の強みは

 「現在多くの建設現場で使用されている足場は、枠組足場と当社の主力商品であるくさび緊結式足場の2種類になる。枠組足場は高層建築用途のため、資材が重く組み立てにレッカーが必要になる。このためコストがかかり工期も長くなってしまう。一方、くさび緊結式足場は中低層用途で、部材がユニット化されておりハンマー1本だけで組み立てられるため、コストも時間も低減できる。人手不足が深刻な建設現場にとって導入メリットが大きい」

 --国内市場の動向は

 「新築戸数が減少しているが、リフォーム需要は今後10年ほど伸びるだろう。建設業界は人手不足に悩まされているので、早く簡単に組める当社のくさび緊結式足場と次世代足場を広めていきたい」

 --長期的にみれば国内市場は縮小する

 「将来を考えれば海外進出は不可欠だ。とくに労働人口が若く成長が期待される東南アジアは建設需要が旺盛だ。現地の建設足場メーカーは零細企業が多く、安全意識が高まっているので注力していく。すでにベトナムに協力工場を設けて足場を製造し、アジアへの供給拠点と位置づけている。フィリピン・マニラには昨年営業事務所を開設し、営業活動を開始している。まだ売り上げはわずかだが、来期から伸ばしていきたい」

 --建設用足場以外の事業は

 「工場や倉庫での物品の保管・搬送用のパレットやラックなどの物流機器の売上高は1割強となっている。売り上げの9割弱を占める建設用足場に次いで、ここを第2の柱とするため伸ばしたい。とくに大手インターネット通販向けの巨大倉庫でのラック開発は市場の伸びとともに期待している。将来は農業用、建材用などにも参入する」

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【プロフィル】山田博

 やまだ・ひろし 1979年信和入社。88年信和サービス(現・KRH)取締役を経て、2003年12月から信和社長。65歳。岐阜県出身。

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【会社概要】信和

 ▽本社=岐阜県海津市平田町仏師川30-7

 ▽設立=1979年8月

 ▽資本金=1億円

 ▽従業員=154人 (2018年1月末時点)

 ▽売上高=164億200万円 (18年3月期見込み)

 ▽事業内容=仮設資材、物流資材の製造販売・レンタル