【論風】進展する「電力化」社会 安定供給への課題が山積 (1/3ページ)

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 □日本エネルギー経済研究所常務理事・小山堅

 エネルギーは人々の暮らしにとって欠かせないものであり、経済・産業活動にとっても不可欠である。人口増加や経済成長によって、そして人々がより豊かで利便性の高い生活を求める中で、エネルギーの需要が増大していくことはごく自然な流れである。

 エネルギー需要が増大していく中でも、特に今後特に需要増大が著しいのは電力である。石油製品、ガス、電力など消費者・需要家が直接使うエネルギー源には、それぞれ特徴があり、それに応じてさまざまな使い分けが行われていく。しかし、その利便性の高さ、社会のデジタル化への対応などの要因で、電力への需要は今後とも底堅い伸びが続くことは世界的に見て確実であろう。

 当研究所が昨年発表した2050年に至る長期見通しでは、世界の最終エネルギー消費全体の伸び率が1%程度であるのに対し、電力消費の伸びは2%弱である。すなわち、エネルギー消費構造の中で電力の割合が高まる、「電力化」が進展する将来像となっている。

 暮らしの中で、そして経済の中で電力の重要性が高まれば高まるほど、増大する電力需要をいかに経済的に、持続可能性をもって、安定供給するかが重要性を増すことは明らかである。そのためには、電力部門全体すなわち発電だけでなく送配電網や関連設備・インフラも含めた供給チェーン全体で適切な投資が行われていく必要がある。

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