つみたてNISA、認知度は低空飛行 証券業界「10年かかる」

証券会社が顧客開拓の足掛かりと位置付ける「つみたてNISA」=東京都千代田区(森田晶宏撮影)
証券会社が顧客開拓の足掛かりと位置付ける「つみたてNISA」=東京都千代田区(森田晶宏撮影)【拡大】

 1月にスタートした積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」の認知度が低空飛行を続けている。三菱UFJ国際投信(東京)が毎月実施している調査によると、3月は25・5%で、昨年9月の調査開始以降で初めて前月比で低下した。制度を活用してもらうためにはまず知ってもらう必要があり、金融機関など業界挙げての地道な取り組みが欠かせない。

 三菱UFJ国際投信は毎月、全国の1万人を対象につみたてNISAの認知度を定点調査。初回の昨年9月は19・1%で、毎月少しずつ上昇し、今年2月は28・4%に達したが、3月は低下に転じた。依然として7割超がつみたてNISAがどのような制度かを知らない状況が続いている。

 調査対象とする1万人は過去の回答者を除外しているため、毎月入れ替わっている。また、金融に関心のある層に絞って調査していることもないという。

 投資信託協会(東京)がつみたてNISAスタート直前の昨年12月に実施して今年3月に公表した全国2万人対象のアンケートでも、認知度は36・9%だった。これについて、岩崎俊博会長は今月12日の記者会見で「認知という点ではまだ高くはない」と指摘。つみたてNISAの名前も制度内容も知っていると答えた割合は全体の10・8%にとどまり、岩崎氏は「さらに(認知度を)上げていく必要がある」と語った。

 日本証券業協会(東京)によると、1月末時点で主要な証券会社のつみたてNISAの口座数は約17万口座で、一般NISAがスタートした平成26年1月時点で約278万口座を集めたのと比べると差は大きい。ただ鈴木茂晴会長は、定額積み立ての資産運用の強みが発揮されて「つみたてNISAをやってよかったと認識できるには5年、10年かかる」とし、気長に取り組む姿勢を強調している。(森田晶宏)