【ベンチャー支援の現場から】エネチェンジとサミットエナジー、電力自由化

欧州のベンチャー企業を対象にした事業支援プログラムを手掛けるエネチェンジの城口洋平会長(左)とサミットエナジーの小沢純史社長=東京都千代田区
欧州のベンチャー企業を対象にした事業支援プログラムを手掛けるエネチェンジの城口洋平会長(左)とサミットエナジーの小沢純史社長=東京都千代田区【拡大】

 ■欧州のエネ関連企業と連携模索

 電気・ガス料金比較サイトの運営などを手掛けるエネチェンジ(東京都千代田区)と、住友商事子会社で電力小売りのサミットエナジー(同)は共同で、主に欧州のエネルギー関連技術ベンチャー企業を対象とする支援プログラムを始めた。日本企業が海外のベンチャーを対象にした事業支援プログラムは「これまでほとんど例がない」(エネチェンジの城口洋平会長)という。

 「ジャパンエナジーチャレンジ」と題した事業支援プログラムは、既に応募が始まっており、3月末現在で61社が参加登録をしている。

 5月上旬まで受け付けた後、電気自動車(EV)や蓄電や充電、再生可能エネルギー、IoT(モノのインターネット)の活用といったエネルギー分野やその関連製品・ソフトウエア分野を中心に10社ほどを選定する。

 両社に加え、石油元売り大手のJXTGエネルギー、東京ガス、新電力のLooop(ループ、東京都文京区)、太陽光発電を手掛けるネクストエナジー・アンド・リソース(長野県駒ケ根市)の新規事業担当者が、7月4~6日に英国を訪問。ベンチャー企業経営者と日本での事業計画を練り上げ、その中から事業の実現性が高い2社の計画案を選出。9月に日本で予定される報告発表会で披露する。

 既に、計測データを送信できるスマートメーター(次世代型電力計)を活用したビジネスプランなどが寄せられているという。

 電力自由化の先進地、欧州では、電力やガス会社がベンチャー企業との協業で生活支援サービスも手掛けるなど、サービスの多様化が進んでいる。日本でも2020年の発送電自由化を機にこうした流れが加速するとみられる。既に東京電力ホールディングスは複数の英国ベンチャー企業に出資している。

 欧州のベンチャー企業にとって、電力自由化がスタートして間もない日本は最も有望な市場の一つと捉えられており、日本のエネルギー関連企業との連携を模索する動きが始まったともいえそうだ。