【高論卓説】2018年は物流ドローン元年

 ■空の産業革命 「宅配便」が実用化目前

 「空の産業革命」と呼ばれるドローン(小型無人機)の市場が広がっている。2015年末に航空法が改正され、ドローンの法整備がなされて以降は月1000件ものドローンの使用を求める申請がなされているという。

 農業分野では農薬散布に使うヘリコプターの数分の1の価格で購入できるドローンに関心が集まり、すでに約3000台のドローンが活用されているほか、土木測量ではドローンで空撮し、その画像データをコンピューターで分析する技術が注目を集め、国土交通省はICT(情報通信技術)を建設現場に導入する「i-Construction(アイ・コンストラクション)」を推進し、公共工事などでもドローンが活用されている。

 ドローンは第二次世界大戦前に飛行機をリモコンで飛ばす実験に使われた英国の標的機「クイーンズ・ビー(女王蜂)」がそのルーツだといわれている。それを見た米陸軍の将校が関心を持ち、同じような取り組みを始めた。その標的機を「ターゲット・ドローン(雄蜂)」と呼んだことから無人機がドローンと呼ばれるようになる。

 その後、イスラエルなどで軍事目的のドローンが進化。1980年には偵察機として活用されるようになり、90年代にはGPS(衛星利用測位システム)機能付きのドローンが誕生し、広範囲での偵察が可能となった。

 95年の東欧州のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争では、GPSを搭載した米国のプレデターというドローンが初めて使われたが、広範囲で追跡できることと衛星を使った動画の圧縮技術が発達し、映像をリアルタイムで伝えられるようになった。

 民生用ドローンのルーツは日本だといわれている。80年代に農林水産省が中心となり国家プロジェクトとして開発、ヘリコプターで行われていた農薬散布をドローンに置き換えるためにヤマハ発動機やヤンマーで開発が進んだ。ちなみに世界で初めて市販されたドローンはセンサーメーカー、キーエンスの「ジャイロソーサー」。

 当時はリチウムイオンやリチウムポリマーといった超軽量の電池がなかったことから、重量のあるニッケル電池を使わざるを得ず、数分しか飛べなかった。その技術は普及しなかったが、2010年にフランスのパロットがタブレットで簡単に操作できるドローンをつくりこれが普及、さらに中国のDJIが高性能のカメラを装着して空撮ができるドローンを開発、大ヒットした。

 ドローンは前述した農業関連や土木測量関連以外にも災害復旧時に人が入れないような場所の撮影、切れた電線をつなぐ作業、メディア取材などで活躍しているほか、物流事業で今、大きな注目を集めている。

 車での搬送が難しいような山間部での過疎地域の配送や買い物難民といわれるような高齢者向けの配達で活用が検討され、長野県伊那市は高齢者の買い物実験を行っている。楽天はローソンの移動販売車を使い、福島県相馬市でドローンの配送サービスの実験を行っている。墜落のリスクや水に弱いという弱点をどう克服するかが大きなカギとなるが、本格的な実用化はもうすぐそこまで来ている。

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【プロフィル】松崎隆司

 まつざき・たかし 経済ジャーナリスト。中大法卒。経済専門誌の記者、編集長などを経てフリーに。日本ペンクラブ会員。著書は多数。昨夏に『東芝崩壊19万人の巨艦企業を沈めた真犯人』を出版。55歳。埼玉県出身。