訪日外国人を対象にした酒造メーカーの直売店での酒税免税制度が始まり、各社が外国人客の取り込みに力を入れている。国内有数の酒どころ「灘五郷」(神戸市、兵庫県西宮市)でも制度を追い風に、資料館などの施設で団体客の積極的な受け入れを進める。酒類の国内消費が頭打ちになる中、外国人観光客に新たな活路を見いだしている。(岡本祐大)
約100年前に建てられた酒蔵がもとになっている日本酒大手の白鶴酒造(神戸市東灘区)の白鶴酒造資料館は、酒づくりの工程を紹介したり、利き酒を体験できたりすることから外国人観光客が年々増加。「アジアを中心に毎日1組はツアー客が訪れている」(同社)というにぎわいで、平成28年の来場者約14万人のうち約4万人が海外からの旅行者だった。
同資料館の売店はこれまでも、人型ロボット「ペッパー」を使って3カ国語で館内を案内するなど、外国人客の対応に力を入れてきた。酒税免税制度が始まった昨年10月からは人気の高い6品で制度を適用。「海外観光客の売り上げ増加につなげたい」と意気込む。
灘五郷では、沢の鶴酒造(同市灘区)も資料館に併設する売店で12品を酒税免税に対応。菊正宗酒造(同市東灘区)も年間10万人以上が訪れるという記念館で導入している。