児玉社長は、部下の一言をきっかけに宿泊事業という新規事業に参入することを決断。京町家を買い取り、改修して宿泊施設に転換し、物件を売却するだけでなく、宿泊施設の運営を請け負うことで収益を得るビジネスモデルを構築した。
同社の宿泊施設の利用客は直近で年間20万人以上。8割以上がインバウンドの利用という。
「よそもん」の挑戦
児玉社長は、京都市に隣接する大津市で生まれ育った。幼少期に父が経営した北海道・ニセコのリゾート開発会社が倒産し「今振り返ると貧乏」という生活を強いられた。現在も大津市で家族と暮らし、京都では「よそもん」と謙遜する。
京都で創業したのは家電量販店コジマとの契約があったためだ。京都市内にあるコジマの5店舗で住宅などのリフォーム事業を請け負う仕事だった。しかし、コジマがビックカメラに吸収合併される電撃発表があり、レアルの事業計画にも影響。一時は「翌月の支払いもできない状態」という経営危機になった。ただ、宿泊事業への参入で息を吹き返したという。
ゲストハウス「鈴」などの宿泊事業を軸に、17年9月期の売上高は約32億円。翌18年9月期の売上高は前期比50%増の約48億円へ大幅増収となる見通しだ。平安京があった「洛中」エリアで、京町家や空き地などを宿泊施設へ転換し、集中的に出店するドミナント(地域密着)戦略を進めていく方針だ。
民泊などを行う京町家のオーナーの中には中国系資本もある。児玉社長は「雑な管理が多いのも問題。当社がそうした物件の受け皿になり、問題を払拭する」という考えも示す。