iPS細胞で難聴治療薬候補発見 慶大、来月から治験 世界2例目

 慶応大は24日、遺伝性難聴の治療薬の候補を人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って発見し、5月から患者に投与する臨床試験(治験)を始めると発表した。iPS細胞を利用した創薬の治験は、昨年10月に京都大のチームが骨の難病患者に対して始めたのに続き、世界で2例目。

 iPS創薬は他の病気の治療法開発にも役立つとされ、再生医療と並ぶiPS細胞の活用法として期待されている。

 治験は、幼少期から進行性の難聴やめまいを引き起こすペンドレッド症候群という遺伝性の病気の患者が対象。患者は全国に4000人いるとされる。

 耳の内部にある内耳に原因があるが、リンパ液で満たされていて細胞を採取して調べるのが難しい上、マウスなどの動物で病気を再現できないことから、治療薬の開発が遅れていた。

 慶応大の小川郁教授(耳鼻咽喉科学)らのチームは、患者の血液から作製したiPS細胞を使って内耳の細胞をつくり、病気が起きる過程を再現。内耳に異常なタンパク質が蓄積して、細胞が死ぬことで難聴が起きることを確認した。

 さらに、20種類の薬の候補となる物質を加えて試したところ、すでに別の病気の治療薬として販売されている免疫抑制剤が効く可能性があることを発見した。

 治験では、この免疫抑制剤をペンドレッド症候群の患者に投与し、安全性や有効性を確認する。慶応大病院の倫理審査委員会が3月に承認していた。