日航、LCCで成長拡大へ 若者や訪日客ターゲット、「全く新しいものを組み立てていく」

日本を拠点とする格安航空会社
日本を拠点とする格安航空会社【拡大】

  • LCC新会社の設立を発表する、日本航空の赤坂祐二社長=14日、東京都品川区

 日航は中長距離の国際線を運航するLCCの設立で、経営破綻後の出遅れを取り返す考えだ。訪日外国人旅行者が急増する中、乗客の多様化が進んでおり、LCCに本格参入することで成長への足取りを固める。

 「LCCはこれまでやってきたものとは全く違うビジネスモデル。コストを削るだけではない、全く新しいものを組み立てていくことが成功の鍵だ」。日航の赤坂祐二社長は14日の会見でこう強調した。

 設立するLCC新会社は、日本拠点のLCCとして初となる北米・欧州を含めた中長距離路線に的を絞る。運航1機当たりの座席数はJALブランドより40~50%増やして販売単価を下げ、事業化後3年目での黒字化を目指す。

 2010年の経営破綻後、国が「8・10ペーパー」で日航の新規投資と新規路線開設を制限した17年3月までの期間は、国内外でLCCが勢力を拡大してきた時期と重なる。国土交通省によれば、16年の国際線旅客者数79.6万人のうち、LCC利用者は15.1万人と約2割を占めるまでになった。ライバルのANAHDもLCCへの関与を強めていく中、日航がほぞをかんでいたことは想像に難くない。

 ペーパーの拘束から自由になって約1年の今年2月、日航が公表した20年度までの中期経営計画で、新規事業参入のための投資「特別成長投資枠」500億円が設定されていた。西尾忠男経営企画本部長は「以前からLCCを検討していた。海外からの参入も続く中、検討を本格化させた」と打ち明ける。

 出張目的のビジネス客が多くを占める好調な日航の国際線。LCCという武器を得て価格志向の強い若者や訪日外国人旅行者という顧客層を取り込み、成長拡大につなげる。(日野稚子)