東京証券取引所などに上場する地方銀行80社(持ち株会社含む)の2018年3月期決算が17日までに出そろった。日銀の大規模な金融緩和策による低金利の長期化でもうけが縮小し、全体の6割強に当たる49社が減益か赤字となった。最終損益の合計は前期比8.4%減の9824億円と2年連続のマイナスで5年ぶりに1兆円を下回った。19年3月期は52社が減益を見込んでおり、最終損益の合計も2年連続で1兆円を割り込む見通しだ。
低金利環境はしばらく続く可能性が高く、地銀経営は正念場を迎えている。金融庁は地方の金融システムを維持するため、再編や統合を含めた経営改善を求めているが、県内の有力地銀同士の統合をめぐって公正取引委員会の審査が長期化するなど、地域金融の将来像は見通せないのが実情だ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券がまとめた。同証券の笹島勝人シニアアナリストは、低金利による業績低迷傾向は変わらないと指摘し、「今回の決算では貸し出しなど本業のもうけで赤字となる銀行が出てきた。悪い意味での転換点だ」と強調。取引先企業のM&A(合併・買収)関連の手数料で稼げる都市型地銀と、そうではない地銀の二極化が進むとの見方を示した。
個別では、福島銀行が7年ぶりに最終損益が30億円の赤字に転落した。保有する投資信託の含み損を計上したことなどが響いた。東北銀行も有価証券関連の損失を計上し、最終利益は63.6%減だった。