外食・中食コメ、品薄で商機 「農家にうまみ」 JAや商社、増産促す

JA全農との契約栽培で業務用米を作付けした田んぼ=2017年8月、埼玉県内(JA全農提供)
JA全農との契約栽培で業務用米を作付けした田んぼ=2017年8月、埼玉県内(JA全農提供)【拡大】

 JAグループや商社が、コンビニ弁当など「中食」業界や外食チェーン向けの業務用米の供給拡大を急いでいる。共働き世帯の増加などで需要は伸びているのに、家庭用ブランド米より安いために農家が生産を敬遠しがち。品薄な現状を商機とみて、収穫量の多い品種の導入や複数年の契約栽培を提案し、生産意欲を引き出そうとしている。

 「業務用米が足りないのは追い風だ」。2015年にコメ事業に参入した大手商社、豊田通商の志度裕子主任は話す。業務用の新品種「しきゆたか」の普及を開発者の農業ベンチャーと組み推進し、17年産は東北や関東などで取れた4300トンを買い取って販売した。

 ご飯が冷めても硬くなりにくく、弁当やおにぎりに合う。面積当たりの収穫量はブランド米の1.3倍以上で「単価は安くても量でカバーでき、農家にうまみがある」という。20年ごろには2万トンの生産を目指す。

 コメを集荷する全国農業協同組合連合会(JA全農)は大規模農家を中心に、作付けの一部を3年契約の業務用米に回すよう勧めている。契約期間は販売先が確定するため「収入の一部が安定し、主力の家庭用米の相場変動リスクを緩和できる」(担当者)のが農家のメリット。こうした契約栽培を17年の4400トンから、21年には10万トン以上に伸ばす計画だ。

 業務用の不足感は強く、農林水産省の調べでは、代表格の青森県産「まっしぐら」は今年3月の取引価格が3年前の1.5倍に高騰。家庭用米との差が縮小し、業界では値上げやご飯の量を減らす動きが出ている。コメ卸の担当者は「需給の差を放置すればコメ離れを招く。せっかくの引き合いを無駄にするのはもったいない」と、生産シフトの必要性を訴える。