バス運転手急病で緊急停止 日野、商用車向けで世界初の実用化

運転手の急病を想定するデモで非常用ブレーキのスイッチを押す日野自動車の担当者=21日、東京都羽村市
運転手の急病を想定するデモで非常用ブレーキのスイッチを押す日野自動車の担当者=21日、東京都羽村市【拡大】

 日野自動車は21日、走行中に運転手が急病などに見舞われた際に添乗員らでもスイッチ一つで緊急停止できる運転支援システムを商用車向けに世界で初めて実用化すると発表した。今夏改良の大型観光バス「セレガ」に標準装備する。この技術を高度化し、2022年をめどに実用化する自動運転車にも生かす。

 この日、羽村工場(東京都羽村市)内のテストコースで運転手の急病を想定したデモを実施。時速約80キロで走行中に運転席または客席最前列の上部にあるスイッチを押すとブレーキが作動し約10秒で停止した。車内外にはブザーやランプの点滅で停止を知らせた。

 今後は、運転手の異常を自動検知し路肩に安全に退避させる自動運転システムに進化させる計画だ。

 国土交通省によると、運転手の健康状態急変による交通事故が年200~300件発生しているという。遠藤真副社長は「特に観光バスの事故ゼロに向けた取り組みを優先的に進めたい」と強調した。

 同社は、25年以降に高速道路で完全自動運転を実現するとのロードマップも発表。22年ごろには、緊急時のみ人が関与する「条件付き自動運転」機能の搭載車の実用化を目指す。