■構造変化、低採算で行き詰まり
▼日本コンタクトレンズ 日本コンタクトレンズと、関連の日本コンタクトレンズ研究所は5月1日、名古屋地裁に民事再生法の廃止を申請した。破産手続きに移行する見込み。
日本コンタクトレンズは、ハードレンズを中心に付随するケア用品の製造販売を手掛けていた。「ニチコン」ブランドで高い知名度を築き、ピークとなる1996年2月期の売上高は約40億円に達した。
しかし、その後は同業他社との競合や短期交換型レンズの販売鈍化などで、2016年2月期の売上高は約20億700万円に減少した。赤字計上から借入金の返済負担が重くのしかかり資金繰りが逼迫(ひっぱく)、16年11月に民事再生法の適用を申請し、再生開始の決定を受けた。
これに伴い、17年12月に支援企業との間でスポンサー契約を締結。今年3月には再生計画の認可を受けていたが、スポンサー契約に定める条件を満たせず、支援が受けられない事態となったことから、関連の日本コンタクトレンズ研究所とともに今回の措置となった。
▼ディンゴ ディンゴは4月25日、東京地裁から破産開始決定を受けた。
同社はコンシューマーや業務用のアーケード、パソコン(PC)、スマートフォン向けなど幅広くゲームの開発を手掛けていた。PC版「ONLINE STRIKER」やプレーステーションポータブル(PSP)用の「初音ミク -Project DIVA-」、スマートフォン向け「オカルトメイデン」の企画開発を行うなど実績を重ねていた。
しかし、近年は同業との競争激化から受注不振に陥り、資金繰りも悪化した。そうした中、資金調達が限界に達し、昨年3月に破産手続きを弁護士に一任していた。
また、関連会社のクリエイティブネットワークス(東京都渋谷区)もディンゴに連鎖し4月25日、東京地裁から破産開始決定を受けた。同社はゲームソフトの企画開発などを手掛けていた。
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〈チェックポイント〉
日本コンタクトレンズは民事再生手続による再建を目指していたが、スポンサー候補との調整がつかなかった。「ニチコン」ブランドをもってしても再建は難しいとの判断だったのだろう。ネット販売の浸透による低価格化や廉価なメガネチェーンの台頭など、背景には業界を取り巻く構造変化もうかがえる。
ディンゴは人気ゲームコンテンツの開発に携わった実績があったが、内実は下請け受注による低採算と、人件費や開発費の負担で資金繰りに追われていた。ヒット作が出れば爆発的な収益が見込めるゲーム業界。その陰では熾烈(しれつ)な生き残り競争が繰り広げられ、開発業者の淘汰(とうた)も進んでいる。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)
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【会社概要】日本コンタクトレンズ
▽本社=名古屋市中川区
▽設立=1964年5月
▽資本金=3億6820万円
▽負債額=約14億2000万円 (民事再生法申請時)
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【会社概要】ディンゴ
▽本社=東京都渋谷区
▽設立=1998年8月
▽資本金=1000万円
▽負債額=約3億4000万円