記者会見の冒頭で頭を下げるレオパレス21の田尻和人取締役(中央)ら=29日、東京都千代田区【拡大】
賃貸アパート大手のレオパレス21は29日、1996~2009年に施工したアパートで建築基準法違反の疑いがある施工不良が見つかったと発表した。同法が求める防火や防音効果を備えた住戸を隔てる壁がないなどの問題を確認した。19年6月までに同社が手掛けた全3万7853棟を調査。19年10月までに必要な補修工事の完了を目指す。
東京都内で会見した田尻和人取締役専務執行役員は「当社に施工管理責任がある」と陳謝した。下請け業者に対する検査体制が十分ではなく、意図的な手抜き工事ではないと説明した。
レオパレスによると、アパートの仕様変更に伴い住戸を隔てる壁が必要になったにもかかわらず、一部物件の設計図面上に反映されていなかったのが原因という。これまで確認された施工不良は神奈川県や兵庫県など12都府県で計38件に上るという。物件所有者には今後、直接通知する。
田尻氏は、社長ら役員の経営責任を検討するのか、との質問に「議論していない」と答えた。業績への影響は軽微と説明した。
レオパレスは4月27日、住戸を隔てる壁に関して一部の木造アパートで建築確認の図面と実際の施工内容が異なっていたと発表。この調査の過程で今回の問題が発覚した。
レオパレス側は施工に安全上問題ないと主張しているが、一部の自治体は建築基準法違反の疑いを指摘。国土交通省も「安全だからといって適法とは限らない」(幹部)との認識を示している。
レオパレスは11年に起こされた民事訴訟で元オーナー側から壁がないなどと指摘されたが、同社は違法性はないと主張していた。訴訟は13年に和解した。