【論風】激化する国際イノベーション競争 日本が採るべき3つの方策 (1/3ページ)

※画像はイメージです(Getty Images)
※画像はイメージです(Getty Images)【拡大】

 □地球産業文化研究所顧問・福川伸次

 人工知能(AI)、ビッグデータなど情報通信技術の革命的進歩を契機に世界で激しいイノベーション競争が展開されている。この国際競争は、まず米国が先導し、欧州、中国、日本などがこれに追随した。ドイツはインダストリー4.0などで新しい産業革命を主導し、中国は米国を追って急速にAI、ドローン、電気自動車(EV)、自動走行、燃料電池などに取り組んでいる。日本は残念ながらこうしたイノベーション競争に立ち遅れている。

 こうした動きは情報通信分野にとどまらず研究開発領域の多面的展開を促している。科学技術・学術政策研究所などによりコアペーパー(上位1%論文)で見るサイエンスマップによると主要国の挑戦する研究領域は2002年の598領域から14年に844領域に拡大し、癌、循環器疾患、遺伝子発現制御、感染症、循環生態系研究、ナノサイエンス、新エネルギー、量子物性化学、素粒子、宇宙論などに及んでいる。

 バブル崩壊で意欲低下

 企業の動向をみると、米国ではビッグ5といわれるアマゾン・コム、フェイスブック、アップル、マイクロソフト、グーグルなどが市場を占拠し、中国ではアリババグループ、テンセント、ファーウェイ、バイドゥなどが活発に事業を拡大。シリコンバレーではベンチャー企業がひしめき、「若者、よそ者、変わり者」が活発に活動し、中国では、北京(中関村)、上海、深センなどで「大衆創業、万衆創新」運動が盛り上がっている。日本でも筑波研究学園都市、京阪奈学園都市などが活動してはいるが、活力に乏しい。

続きを読む